11月10日に開催が迫るUFC MACAO。日本からは五味隆典、漆谷康宏、福田力、水垣偉弥と4人のファイターが出場する。大会を前に、MMAの長い歴史を誇る日本のベストファイターたちをおさらいしよう。中編はUFCが選んだ9名の実績あるファイターを取り上げる。
■安生洋二(東京)UFCで勝利のスリルこそ味わったことはないが、杉並出身の安生は日本ではプロレスの悪役として名を馳せた。すでに悪名高き存在だった彼はMMAにも進出し、1996年にはショーン・アルバレスと34分間の戦いを繰り広げると、1997のUFC JAPANではタンク・アボットと対戦。判定までもつれ込む激闘を演じた。しかしこのあとはムリーロ・ブスタマンチ、マット・リンドランドに敗れ、オクタゴンを去った。2004年にPRIDEの舞台でハイアン・グレイシーに敗れ、これがMMAラストマッチとなった。■長南亮(山形)東京を歩いているだけでは気づくことはないが、多くのビルが元建設作業員である長南亮と縁のある建物だ。また同様に、彼のUFCでの戦績を振り返っただけでは、その全貌をつかむことは決してできない。しかし、さらにDEEP、PRIDEとさかのぼっていけば、彼がMMA界に確固たる地位を築いていたことが分かるだろう。2004年のPRIDEでは現UFCミドル級王者のアンデウソン・シウバをヒールホールドで仕留め、シウバを一本勝ちで仕留めた最後の男となった。ただ、UFCの舞台では振るわず、1勝3敗に終わった。■福田力(岐阜)※UFC MACAO出場予定日本で長きにわたってトップクラスに君臨していた福田は、2011年にTUF出身のニック・リングを相手にUFCデビューを果たした。この試合では判定で敗れたものの、あまりに微妙な判定だったため、デイナ・ホワイト会長が福田にボーナスを与えたほどだった。このあと、福田はスティーブ・キャントウェルを判定で下し、コスタ・フィリッポウには判定で敗れた。そして11月10日、UFC MACAOでトム・デブラスと顔を合わせる。■郷野聡寛(埼玉)カリスマ的な郷野は1994年のMMAデビュー以来、30勝を積み上げている。この間、ウェルター級からライトヘビー級まで、郷野は歴戦の強者たち(マウリシオ・“ショーグン”・フア、マット・ヒューズ、近藤有己、ダン・ヘンダーソンなど)としのぎを削ってきた。アグレッシブかつオールラウンドなスタイルでPRIDE、パンクラス、修斗で活躍し、派手な入場パフォーマンスでも人気を博した。UFCではタムダン・マクローリーに勝利したが、ダン・ハーディー、ジョン・フィッチを相手に判定で惜敗した。■菊田早苗(東京)パンクラスのスターである菊田は2000年のUFC 25でユージーン・ジャクソン戦で一本勝ち。しかしこれがUFCでの最後の試合となり、その後彼がUFCにとどまった場合どのような成績を残したかを夢想することは、歴史のifの一つだ。トップレベルの才能を誇った菊田は、ヘンゾー・グレイシー、ムリーロ・ブスタマンチ、美濃輪育久、近藤有己、ミノタウロ・ノゲイラ、吉田秀彦らと激闘を繰り広げた。■小谷直之(神奈川)UFCではチアゴ・タバレス、デニス・シヴァーを相手に連敗を喫した小谷。しかし現在では日本のリングで連勝中で、30歳の小谷はそのアップダウンの激しいキャリアの中でようやく日の目を見つつあるようだ。■美濃輪育久(名古屋)MMA屈指の人気を誇る日本人ファイター。この36歳については、53勝34敗という壮絶なキャリアがすべてを物語っている。2000年のUFC 25でジョー・スリックを下した“ミノワマン”は、ヴァンダレイ・シウバ、クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン、ハイアン・グレイシー、桜庭和志、ミルコ・クロコップと戦いを繰り広げてきた。■三島☆ド根性ノ助(大阪)カリスマ的で才能溢れる三島は、UFCでは持ち味を発揮できず、ジョー・スティーブンソン、ケニー・フロリアンを相手に2敗を喫した。しかし日本の大会でイーブス・エドワーズ、マーカス・アウレリオ、五味隆典といった錚々たる面子と戦ってきたことを思えば、UFCでのデビューはふさわしいものであったことが分かるだろう。■水垣偉弥(神奈川)※UFC MACAO出場予定日本の最高級の“輸出品”である水垣は、2011年にUFCバンタム級でデビューし、ルーベン・デュラン、コール・エスコベドを相手に勝利をさらった。こうしたなか、ファンの記憶に鮮烈な印象を刻み込んだのは、2009年のWECでのミゲル・アンヘル・トーレス戦に他ならない。このタイトルマッチで、水垣はトーレスと5ラウンドにわたって渡り合い、このエキサイティングな戦いはファンに対してバンタム級をアピールする上で貴重な役割を果たした。UFCで2勝2敗の水垣は、UFC MACAOでジェフ・ホウグランドを相手に勝ち越しを狙う。