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超新星、チャールズ・オリヴェイラを君は見たか!?(日)

僅か6週間という短い間隔で臨んだ9月15日にテキサス州オースティンで行われたUFN 22で、オリヴェイラはフランク・アーウィン・センターに集まったファン達にエフレイン・エスクデロを相手に再び衝撃的なサブミッションを披露し、このブラジルから来た若干20歳の天才的な柔術家はたった6週間の間に2度もサブミッション・オブ・ザ・ナイトを獲得するという快挙を成し遂げた。

8月1日にサンディエゴ、スポーツアリーナでダレン・エルキンスをわずか41秒で三角絞めで切って落としたチャールズ・オリヴェイラはこの試合でベスト・サブミッション・ボーナスも勝ち取った。ダブルレッグで抱えられた瞬間に即座に左手で相手の腰を押し離し、マットにスラムされた時にはすでに相手のパスガードを封じながら下からのサブミッションに必要なスペースを生み出していたオリヴェイラの動きは、その驚くべき秒殺劇がたんなるまぐれではないことをファンに伝えるには充分だった。
そして僅か6週間という短い間隔で臨んだ9月15日にテキサス州オースティンで行われたUFN 22で、オリヴェイラはフランク・アーウィン・センターに集まったファン達にエフレイン・エスクデロを相手に再び衝撃的なサブミッションを披露し、このブラジルから来た若干20歳の天才的な柔術家はたった6週間の間に2度もサブミッション・オブ・ザ・ナイトを獲得するという快挙を成し遂げた。
オリヴェイラのUFC第一戦では具体的なピンチこそなく短時間で試合が決着したため、オリヴェイラの強さは充分に見ることが出来たが、はたしてこの関節技に長けた柔術家が近代MMAで必須とされるその他の要素であるレスリングやボクシング、そしてキックボクシングといった要素に対してどれほどの適応力を持っているのかは分からなかった。実際にダレンのパンチに左腕が伸びきり動きが止まった瞬間にダブル・レッグで抱えられた様子を見る限りでは、グラウンド以外の分野でのオリヴェイラの動きは若干不安の残る部分があったのは否めない。ところがオースティンでの一戦では、僅か6週間の試合間隔ながらもオリヴェイラはレスリング、ボクシング、そしてキックボクシングに至るまで前回の試合では見られなかった数々の素晴らしいアタックを存分に繰り出した。
1ラウンドからオリヴェイラはトップ・ギアに入っていた。試合のブザーがなると直ぐに頭を振りながらの左ジャブ、左インロー、そして左のハイキックを見せると即座にエスクデロの意表をついた飛び膝蹴りを繰り出し、その動きからオリヴェイラにはエスクデロを相手にボトム・ポジションに陥ることを問題としていないのは明らかだった。わずかな膠着の後に再び試合がスタンドから再開されると勢いのある左ハイ、そしてしなるような右アウト・ローで6センチというリーチ差以上に間合いをコントロールしながら自在に攻撃を繰り出してゆく。エスクデロの驚異的なバランスとテイクダウン・ディフェンスに阻まれ、最終的にテイク・ダウンには至らなかったが、オリヴェイラの左ストレートからダブル・レッグへのコンビネーションは見るものに前戦で感じたオリヴェイラへの疑問を完全に払拭させるのに充分な動きだった。
2ラウンドになってもオリヴェイラの動きは変わらない。距離によって巧みに打ち分ける左、そしてエスクデロの左足をなぎ払うような重い右ローを軸に、エスクデロが少しでも退がるとすかさず走りこんでダイナミックな飛び膝蹴りを繰り出す。カウンター狙いのエスクデロを相手にオリヴェイラは素早い出入りとヘッド・ムーブメント、そして堅実なガードで果敢に”Hencho en Mexico”の守りを崩すべくを攻め続けた。
圧巻は3ラウンドだった。互いの健闘をたたえあった後、オリヴェイラは平然と、1ラウンドの始まりとおなじスピードで最終ラウンドの戦いを始めた。1分25秒頃、金網に押し込まれた状態での攻防でエスクデロの左膝蹴りがローブローとなってしまい試合は一時中断。会場の誰もがこのダメージでオリヴェイラのこれまでのスピードが失速するのではないか?と思ったに違いない。
嬉しい事に、この予想は良い形で裏切られることになった。
試合が再開されるとオリヴェイラはまるでカンフー映画のコマ落としのような信じられないスピードでフェイントをかけながらエスクデロに迫ると、フェイントのプレッシャーに耐え切れなくなったエスクデロが不用意に放ったワンツーからの右ミドルをキャッチして反り返るようなダイナミックなテイクダウン。エスクデロが素早くオリヴェイラを蹴りはなしてその両足で立ち上がったとき、オリヴェイラはすでにネコの様な敏捷さでその背中の上に飛び乗り、その腕はエスクデロのアゴにガッチリと食い込んでいた。しばらく耐えたエスクデロも敢無くタップ。オリヴェイラのこの飛び道具のようなサブミッションにエスクデロは苦笑いするしかなかった。
テイクダウンに若干苦しんだのもエスクデロの素晴らしいディフェンスを考慮すれば仕方の無いところ。3ラウンドと言う長丁場のなかで、エスクデロのような難敵を相手に一度たりともピンチらしいピンチに陥ることなく、そしてキッチリと相手を仕留めたオリヴェイラ。もはやオリヴェイラの柔術以外の才能と実力に疑問を持つファンは少ないだろう。
ただし、ジョー・ローガンが2ラウンドの始まりに「1ラウンド最後の展開はオリヴェイラがテイクダウンを諦め引き込んだから、エスクデロが上になったんだ。あれによってオリヴェイラは1ラウンドを判定で失ったかもしれない。」と指摘したように、UFCで勝利をあげるには戦略的な試合運びも無視の出来ない要素だ。もちろん、たった6週間の間隔でこれほどの試合を見せたオリヴェイラ、次の試合までにはファンの期待以上の成長を見せてくれるだろう。オリヴェイラの次戦を楽しみに待ちたい。そしてまだオリヴェイラの試合を観たことのないファンには、この驚異的なスピードを持つフィニッシャーの試合をぜひとも観てもらい。